スポーツ栄養講座 専門コース(2018/6/17)報告

日 時:平成30年6月17日(日)

会 場:日本福祉大学名古屋キャンパス

(4) 9:30~11:00「スポーツ栄養マネジメント 栄養補給計画」
    至学館大学 杉島有希 先生

 栄養補給計画に正確はなく、エネルギー必要量を正確に見積もることはできない。そのため、根拠を持って妥当な値を推定できるか、アセスメントを活用して、随時修正できるかが、問題である。栄養補給量決定の際に考慮するべきことは、期分け、トレーニング内容、競技者の身体づくりの目標や目的、ターゲットとなる日までの期間などである。エネルギー補給量の評価、栄養補給量の評価、増量時の栄養補給計画の事例を挙げられ、後半では、栄養補給計画実習を学んだ。

(5) 11:10~12:40「スポーツ栄養マネジメント 行動計画及びステージモデル」
    大野千秋 先生

 行動変容ステージ別プロセスの種類として、維持期、実行期、準備期、関心期、無関心期に分けられる。変容プロセスとテクニックは、無関心期・関心期の選手向けには考えに関すること、準備期・実行期・維持期の選手向けには行動に関することに分けて説明された。行動意思理論では、人が行動を起こすことには、やってみとよう言う意思が必要である。やる気を引きだす方法として3つある。行動のメリット感、周囲の期待、自己効力感(自己の成功経験、代理的経験、言語的説得、生理的・情動的状態)があり、これらを使って実行することで選手のやる気アップ方法を学んだ。さらにグループに分かれ、意見交換や計算を行い実践した。

(6) 13:30~15:00「スポーツ栄養マネジメント スポーツ選手の栄養教育」
    佐藤光美先生、上野秀美先生

 スポーツ選手の栄養教育は、スポーツ栄養マネジメントを成功させるための手段の一つである。その考え方として、適切な食生活ができるような実践方法を具体的に示し、目標達成ができる様に栄養補給のタイミング、ストレスが食行動に影響することも考慮し、できることから優先順位をつけ、総合的な理解を促すことが大切である。実際の症例も出していただき、さらに演習では、グループワークでいろんな意見を聞くことができ、実践に沿った内容で学ぶことができた。

(7) 15:10~16:40「スポーツ栄養マネジメント 評価方法 統計解析」
    中部大学 甲田道子先生

 評価方法として、正規分布、非正規分布、代表値、差の検定などがある。これらの方法で数字を使い実際に行った。差の検定も正規分布での対応があるか、ないかをt検定で行い、なければ、F検定を行い、等分散なのかどうか確認をし、等分散ではない場合は、Welch法を使う。などとても分かりやすく演習を行うことができた。

スポーツ栄養講座~専門コース~(2018/5/13)報告

日 時:平成30年5月13日(日)

会 場:日本福祉大学名古屋キャンパス

(1) 9:30~11:00「スポーツ栄養マネジメントの理解」
    スポーツ栄養委員会委員長 山本和恵先生

 1限目の前半は公認スポーツ栄養士について説明であった。公認スポーツ栄養士は、日本栄養士会が認めている特定分野管理栄養士制度であり、資格を取得したあとも継続的な研修がある。また、愛知県栄養士会でも、本研修会のようにスポーツ栄養講座を開催したり、年1回スポーツ栄養セミナーを実施している。さらに、今回のスポーツ栄養講座の立ち位置、講座受講者の方の関わり方についての説明もあった。講義の後半は、「スポーツ栄養マネジメント」 についての概略を説明いただき、事例を踏まえながら、山本先生が用意してくださった栄養管理事例報告書のシートを埋めていった。スポーツ栄養士がスポーツ選手をサポートする上で求められる「スポーツ栄養マネジメント」の実施流れを把握することができた。今回の事例では、ラグビー部を取り上げ、ポジションによって選手の目標も変わってくること、選手の状況を把握するための情報を正しく収集していくことの重要性を教えていただいた。

(2) 11:10~12:40「栄養アセスメントⅠ(講義)」
    中部大学 甲田道子先生

 2限目は、「スポーツ栄養マネジメント」の栄養アセスメントについて、座学の講義を実施した。栄養アセスメントは、様々な数値を出すだけで終わるのではなく、次につながる意味合いを持つ「査定」としての意味合いを持つこと。そこから、解決すべき課題・問題点について明らかにしていくことが大切であることを教えていただいた。栄養士ができることは限られているが、生化学検査や臨床診査の情報を理解することが重要である。また、各選手に応じた必要エネルギーの算出、その選手が実際に摂っている食事摂取エネルギーの算出方法はアセスメントの項目としては大事な部分であるため、例題を使って理解を深めることができた。

(3) 13:30~16:40「栄養アセスメントⅡ(演習)」
    愛知淑徳大学 小久保友貴先生

 3限目は、2限目の講義に基づいた実践演習で、3~4人のグループに分かれ実施した。
 演習Ⅰでは、最初にアイスブレイクで選手に対して印象付けるための自己紹介を実施した。ありきたりではなく、笑いの取れる紹介方法を自分自身でいざ探すことは、なかなか普段では行うことがないため、一気に雰囲気が和んだ。続いて、アンケート用紙を使用した問診による食生活アンケートについて、追加項目等をグループワークで洗い出し、各グループ代表による発表を実施した。実に23項目もの質問が追加され、様々な角度からアセスメントすることによって、選手の状況を把握する重要性を認識できた。
 演習Ⅱでは、グループのメンバーで身体計測を実施した。実際に2名の測定者がメジャーとアティボメーターを用いて、腹囲、上腕周囲長、下腿囲、上腕三頭筋皮下脂肪厚、肩甲骨下部皮下脂肪厚を測定した後、体組成計による体脂肪率を測定し、比較検討した。その後、アストリムによるヘモグロビン濃度測定を実施し、自身の身体と向き合うことが出来た。
 演習Ⅲでは、グループ内で、(1)栄養士、(2)対象者(選手)、(3)見学者のパートに分かれそれぞれの資料の情報に基づき、役になりきり食事内容の確認を実施した後、内容について、(1)栄養士の立場から食事を確認する上で、栄養士自身が注意した点、気をつけた点、(2)対象者の立場から、気になった点、もっと聞いてほしかった点、(3)見学者の立場からそれぞれ栄養士、対象者の良かった点、悪かった点についてディスカッションを実施した。食事における過少評価について、日本人男性は11%、女性は15%が少なく申告しており、スポーツ選手においては、食事制限が要求される種目では過小評価が多く、食事を食べることを求められる種目では、過小評価が少ないことが報告されており、これらのことを踏まえて、調査に臨むことが大切であるとの講義もあった。
 今回の演習では、実際に自身の身体と向き合い、測定者の立場への理解を深めることが出来た。また、いくつかの例を踏まえ実践の場においての指導方法やアセスメント、さらには他の栄養士の手法を学ぶこと出来るなど、大変有意義な演習であった。

第2回愛知県栄養士会スポーツ栄養セミナー (2018/4/28)
「すぐに役立つスポーツ栄養スキルとその活用」

日 時:平成30年4月28日(土) 12:50~16:30

会 場:イーブルなごや ホール

『ジュニアトップアスリートに対する栄養サポート』
    高崎健康福祉大学 教授 木村 典代 先生

 競技団体における栄養サポートの位置づけ、ジュニアアスリートに対する栄養教育のポイント、海外における食環境問題への対応についてご講演いただいた。ジュニアアスリートの栄養教育のポイントとしては、選手のモチベーションの高さ・個人の意識の高さが行動変容へとつながる。憧れの選手をモデリングすることや、短期・長期結果により栄養教育の効果が大きく変わる。食行動に移すためには、ジュニア選手のモチベーションや意識を把握し、どのように声を掛けていくかが重要になる。また、ジュニアアスリートをサポートされている周りの方(家族や調理スタッフ、チーム指導者や学校)とスポーツ栄養士の関わりや連携も重要となる。
 モチベーション・意識の高さが食意識や行動へとつながること、またそれらを高めるためには選手たちにどのように声掛けをするとよいのか具体的にお話を聞くことができました。また、実際に木村先生が取り組まれている内容や注意されていること、実体験などの貴重なお話も聞くことができ良かったです。個人のモチベーションや意識は指導者側の言い方により高くも、低くもなるため、伝え方一つで選手たちは捉え方が変わり、モチベーションも変わってくると思います。これからは選手への伝え方には気を付けなくてはならないと改めて感じました。

『よい睡眠で疲労回復と能力向上』
    中部大学 特任教授 宮崎 総一郎 先生

 睡眠の役割、睡眠とスポーツ・記憶・学力、睡眠の評価や改善等についてご講演いただいた。睡眠は「脳による脳のための管理技術」であり、休息するだけではなく、積極的に「脳を作り、育て、より良く活動させる」機能がある。睡眠中に記憶を整理、固定するため十分な睡眠により、脳の情報処理能力は回復し、記憶が強化され翌日によりよく活動することができる。また、運動部に所属されている学生に十分な睡眠時間を指導したことにより、競技力が向上されたという報告もあった。
 ご講演中、睡眠改善に取り組まれた患者様の映像を拝見しました。取り組まれ患者様の表情、雰囲気、しゃべり方などがだんだんと明るく、柔らかな感じに変化されているのがわかりました。また、睡眠不足は健康障害へ影響すること、選手ではパフォーマンスへ影響することも研究結果をもとにご説明をしていただき、改めて睡眠の大切さを感じられた内容でした。食習慣、食生活だけではなく睡眠を含めた生活習慣全体がパフォーマンスに関わることをこの講演で学ぶことができ良かったと思います。

以上

報告者:森田有貴

スポーツ栄養講座 基礎コース(2018/2/25)

日 時:平成30年2月25日(日)

会 場:日本福祉大学名古屋キャンパス 8階

(5) 9:30~11:00「運動と栄養(代謝中心)」
    至学館大学健康科学部栄養学科 教授 村上 太郎 先生

 体づくりにおける運動と栄養の役割についてご講演いただいた。たんぱく質は体内で合成と分解を繰り返し、体が作られている。運動と食事は筋たんぱく質の合成を高めるため、たんぱく質の必要量やタイミング、食べる組み合わせが重要である。また、運動後の糖質を摂取するタイミング、食べる組み合わせ、種類によりグリコーゲン合成が高まり、回復速度も異なることを学んだ。

(6) 11:10~12:40「コーチング(スポーツ心理学)」
    日本福祉大学スポーツ科学部 助教 山本 真史 先生

 コーチングについてご講演いただいた。コーチングとは個人やチームの向上を導くことである。それを行動に引き起こし持続させるためには動機付けが重要であり、動機付けを高めるためには具体的で適切な目標の設定が必要である。また、試合におけるプレッシャーによりパフォーマンスが低下するため、選手個人の心理的な特徴を把握し、目標設定を行うことも必要である。チーム間、スタッフ間、選手間での円滑な連携、コミュニケーションをとることにより、パフォーマンス向上へとつながることを学んだ。

(7) 13:30~15:00「運動によっておこる栄養障害」
    三重病院客員研究員 日本体育協会公認スポーツドクター 貝沼 圭吾 先生

 運動によっておこる栄養障害と遠征時の水分管理、体づくりの基本は食事であるについてご講演いただいた。内科的スポーツ障害で多い貧血の症状、スポーツ性貧血、対策等について。遠征時は食・生活環境などの変化から体調を崩す選手もいる。そのため、体調管理として脱水状態の把握をするために尿検査を用いコンディショニングの管理を行った。介入したことにより選手たちの食事、水分補給の意識の変化、脱水の改善が見られた。
スポーツドクターの現場が分かり、栄養士としては、どのくらいの知識が必要かが分かり、さらに勉強意欲がわいた。

(8) 15:10~16:40「サプリメントと薬」
    (一社)愛知県薬剤師会 薬事情報センター
        スポーツファーマシスト 竹林 まゆみ 先生

 ドーピングついてご講演いただいた。アンチドーピング規則違反やその制裁措置を過去のドーピング違反の事例も用いて説明。どのような状況や背景があっても薬やサプリメント、選手が口にするものは全て選手の自己責任となる。そのため、ドーピングに関して正確な情報、知識を選手やスタッフが持つ必要がある。また、スポーツファーマシストに相談や確認をするとよいことが分かり、ドーピングについて食に関わる栄養士と協力体制にあることが、選手をアンチドーピングに導くのに必要だと理解した。

スポーツ栄養講座 基礎コース(2017/11/12)

日 時:平成29年11月12日(日)

場 所:日本福祉大学名古屋キャンパス

(1) 9:30~11:00「スポーツ栄養マネジメント」
    愛知県栄養士会スポーツ栄養委員会委員長 公認スポーツ栄養士 山本和恵先生

 スポーツ栄養の人気は、2020オリンピック・パラリンピックの影響もあり高まっています。(公社)日本栄養士会では、特定分野の公認スポーツ栄養士、認定分野の健康・スポーツ栄養認定管理栄養士・栄養士を輩出しています。(公社)愛知県栄養士会は、これを受け他県より先駆けてスポーツ栄養委員会が発足され、スポーツ栄養を必要としている選手、県民の皆さまに対応できるように、私たち管理栄養士・栄養士のスポーツ栄養の教育機関や一般者でも勉強ができるスポーツ栄養との差別化をお話ししていただきました。また、スポーツ栄養マネジメントの概要とその活かし方についても学びました。

(2) 11:10~12:40「年代にあった運動の仕方、メディカルチェック」
    (公財)スポーツ医・科学研究所
        日本体育協会公認アスレティックトレーナー 小嶋俊久先生

 トレーニングの7原則、スポーツにおける一般的なメディカルチェックの目的と内容、さらに5~18歳までのジュニア期、青壮年期(成人)、高齢者の年代別の身体的特徴に応じたメディカルチェックの具体的な方法と、安全に効果的に行うトレーニングの種目や注意点について学びました。
 11歳までのジュニア期にゴルフ・フィギアスケートなど技術スキルが必要なトレーニングを始めるとよいこと、青壮年期においては日本とアメリカの身体活動・運動目標の差異や、アメリカスポーツ医学会(ACSM)運動ガイドラインが近年に改定されるという最新情報を、高齢者においては小嶋先生ご両親の介護経験も交え、ステップ運動など身体と同時に頭も動かせるトレーニングがおすすめなど、栄養士にも分りやすくお話ししていただきました。

(3) 13:30~15:00「体内の変化ー成長期ー」
    上越教育大学大学院学校教育研究科 教授市川真澄先生

 成長期における骨、神経系、呼吸器・循環系、筋系の発達について、1つ1つ解説をしていだきました。小学校期には巧みさ、中学校期には粘り強さ、高等学校期には力強さといった成長期における運動原則に沿ったトレーニングすると効果的なこと、また身長が急激に伸びるといった身体変化の特徴から、スポーツ実施時に骨端線の軟骨に影響を与えるような激しい運動は避けることなどを学びました。
筋繊維には日常生活を行ううえでの遅筋:タイプⅠ、瞬間的に大きな力を出せる速筋:タイプⅡAとタイプⅡBがあり、各筋繊維を鍛えるのに最も優れた時期について、市川先生のスキー・スノーボードといったスポーツ経験に基づき、お話ししていただきました。

(4) 15:10~16:40「体内の変化ー高齢期ー」
    国立長寿医療研究センター 室長大塚礼先生

 国立長寿医療研究センターでの「老化に関する長期的縦断疫学研究」の結果から得られた高齢期の体内変化について学び、理解を深めました。この研究は老化の進行過程、要因の解明、老年病の発症要因の解明と予防策の発見・確立を目的とし、対象は大府市・知多郡東浦町の住民から性・年齢階級別に層化無作為に抽出し、1997~2000年までに合計2267名における医・栄養・運動・心理・身体組成学など多分野に及ぶ縦断研究とご紹介いただきました。その研究成果より、加齢に伴う各種要因の経時変化から、昨今注目されている認知症やサルコペニア・フレイル予防に関する食生活アプローチ策まで、貴重なデータの分析結果から健康増進活動に役立つ情報を教えていただきました。