日時:平成30年5月13日(日)
場所:日本福祉大学名古屋キャンパス
(1) 9:30~11:00「スポーツ栄養マネジメントの理解」
スポーツ栄養委員会委員長 山本和恵先生
1限目の前半は公認スポーツ栄養士について説明であった。公認スポーツ栄養士は、日本栄養士会が認めている特定分野管理栄養士制度であり、資格を取得したあとも継続的な研修がある。また、愛知県栄養士会でも、本研修会のようにスポーツ栄養講座を開催したり、年1回スポーツ栄養セミナーを実施している。さらに、今回のスポーツ栄養講座の立ち位置、講座受講者の方の関わり方についての説明もあった。講義の後半は、「スポーツ栄養マネジメント」 についての概略を説明いただき、事例を踏まえながら、山本先生が用意してくださった栄養管理事例報告書のシートを埋めていった。スポーツ栄養士がスポーツ選手をサポートする上で求められる「スポーツ栄養マネジメント」の実施流れを把握することができた。今回の事例では、ラグビー部を取り上げ、ポジションによって選手の目標も変わってくること、選手の状況を把握するための情報を正しく収集していくことの重要性を教えていただいた。
(2)11:10~12:40「栄養アセスメントⅠ(講義)」
中部大学 甲田道子先生
2限目は、「スポーツ栄養マネジメント」の栄養アセスメントについて、座学の講義を実施した。栄養アセスメントは、様々な数値を出すだけで終わるのではなく、次につながる意味合いを持つ「査定」としての意味合いを持つこと。そこから、解決すべき課題・問題点について明らかにしていくことが大切であることを教えていただいた。栄養士ができることは限られているが、生化学検査や臨床診査の情報を理解することが重要である。また、各選手に応じた必要エネルギーの算出、その選手が実際に摂っている食事摂取エネルギーの算出方法はアセスメントの項目としては大事な部分であるため、例題を使って理解を深めることができた。
(3) 13:30~16:40「栄養アセスメントⅡ(演習)」
愛知淑徳大学 小久保友貴先生
3限目は、2限目の講義に基づいた実践演習で、3~4人のグループに分かれ実施した。
演習Ⅰでは、最初にアイスブレイクで選手に対して印象付けるための自己紹介を実施した。ありきたりではなく、笑いの取れる紹介方法を自分自身でいざ探すことは、なかなか普段では行うことがないため、一気に雰囲気が和んだ。続いて、アンケート用紙を使用した問診による食生活アンケートについて、追加項目等をグループワークで洗い出し、各グループ代表による発表を実施した。実に23項目もの質問が追加され、様々な角度からアセスメントすることによって、選手の状況を把握する重要性を認識できた。
演習Ⅱでは、グループのメンバーで身体計測を実施した。実際に2名の測定者がメジャーとアティボメーターを用いて、腹囲、上腕周囲長、下腿囲、上腕三頭筋皮下脂肪厚、肩甲骨下部皮下脂肪厚を測定した後、体組成計による体脂肪率を測定し、比較検討した。その後、アストリムによるヘモグロビン濃度測定を実施し、自身の身体と向き合うことが出来た。
演習Ⅲでは、グループ内で、(1)栄養士、(2)対象者(選手)、(3)見学者のパートに分かれそれぞれの資料の情報に基づき、役になりきり食事内容の確認を実施した後、内容について、(1)栄養士の立場から食事を確認する上で、栄養士自身が注意した点、気をつけた点、(2)対象者の立場から、気になった点、もっと聞いてほしかった点、(3)見学者の立場からそれぞれ栄養士、対象者の良かった点、悪かった点についてディスカッションを実施した。食事における過少評価について、日本人男性は11%、女性は15%が少なく申告しており、スポーツ選手においては、食事制限が要求される種目では過小評価が多く、食事を食べることを求められる種目では、過小評価が少ないことが報告されており、これらのことを踏まえて、調査に臨むことが大切であるとの講義もあった。
今回の演習では、実際に自身の身体と向き合い、測定者の立場への理解を深めることが出来た。また、いくつかの例を踏まえ実践の場においての指導方法やアセスメント、さらには他の栄養士の手法を学ぶこと出来るなど、大変有意義な演習であった。