令和元年度スポーツ栄養~基本コース(第1日目)~

日時:令和元年11月17日(日) 9:30~16:30
場所:日本福祉大学東海キャンパス


(1) 9:30~11:00
  「認知症予防概論」
     (国研)国立長寿医療センター 老年学・社会科学研究センター
       センター長 島田裕之 先生

将来日本の人口構造は高齢者の増大と生産人口の減少が予測され急速に変化しており、現在高齢者の15%が認知症とされている。さらに2025年には更に増加する可能性が高いとされている。そこで認知症予防対策として(1)発病予防(2)発症遅延(3)重症化予防が挙げられる。今回は特に日常生活の中での活動量を向上することはもとより、運動することよって認知機能が低下した状態(MCI)から正常に回復することが出来るということを様々なデータから講義いただいた。

(2)11:10~12:40
  「スポーツ栄養におけるタンパク質・アミノ酸の重要性」
     中部大学応用生物学部食品栄養学科 教授 下村吉治 先生

筋力づくりには材料となるタンパク質(アミノ酸)を摂取することが重要であり、BCAAの代謝系における特徴、筋タンパク組織中のロイシン濃度の上昇および運動とBCAAとの関係、また運動とタンパク質・アミノ酸の摂取タイミングについて、トレーニング後のタンパク質・アミノ酸摂取タイミングが筋肥大と筋力アップに影響する可能性が考えられ、運動直後の摂取は筋損傷の回復作用がある。さらに高齢者におけるBCAAの必要性が若齢成人よりも高まっている可能性、加えて十分なBCAAの摂取は脳のためにも重要であることを各種論文から詳細に講義いただいた。

(3)13:30~15:00
  「アスリートの「こころ」のトレーニングとは?
   ~スポーツメンタルトレーニングの理論と実践方法~
     至学館大学短期大学部体育学科 学部長・教授 氏原隆 先生

アスリートへのメンタルトレーニングのあり方について、「精神力(メンタル)」は「心理的スキル(技術)」であることから、心理的スキルをトレーニングすることによってメンタル面を強化することが可能である。また代表的なトレーニング手法として、目標を設定することによりPDCAサイクルに基づいて目標に向かって努力することを覚悟し、決意することが大切である。さらに、実際にリラックス法やセルフトレーニング法を体験するなど、スポーツの実践の場で活用できる講義をしていただいた。

(3)15:10~16:40
  「ドーピングと薬」
     (一社)愛知県薬剤師会 理事 公認スポーツファーマシスト 佐々木豊 先生

ドーピングは反社会的行為であり、スポーツの価値を損なう。さらに、競技者の健康保護、フェアプレー精神の維持という理由から禁止されている。特に今回は競技者の健康保護について、サプリメントや、一般医薬品、および医療用医薬品とドーピングの関係について過去事例をもとに詳細に説明いただいた。また具体的なサプリメントや医薬品の効果および副作用について、最新の情報を講義いただいた。