平成29年度 学校教育・地域活動・勤労支援部会 コラボ研修会

日時:平成30年2月17日(土)10:00~11:45
場所:愛知県学校給食総合センター 第一研修室
内容:「子どもたちの体力とスポーツ栄養」
    日本福祉大学 公認スポーツ栄養士  山本 和恵 先生
参加者:39名


昭和39年より、文部科学省が「体力・運動能力調査」を実施し、調査研究が始まっていますが、昭和60年ごろから子どもの体力低下が浮き彫りとなっています。小学生低学年以下の時期までに、多様な運動で神経回路を発達させておくと、年代が進んだ時に専門性の高い技術習得が早くなるそうです。とくに、小学生高学年は発達が著しいため、運動の必要性が高い時期です。しかし、現代の子どもたちは「走る」「跳ぶ」「投げる」といった基本的な運動能力が低下しており、幼少年期に身に付けておくべきバランス感覚、リズム感や敏捷性など基礎的な動きが獲得されていない子どもたちが多いそうです。子どもたちの体力低下の先には、生活習慣病の増加、ストレスに対する抵抗力の低下、健康に不安を抱える人々の増加など社会全体の活力が失われていく可能性があります。また、「生きる力(豊かな人間性や自ら学び考える力)」にも悪影響を及ぼし、人材の育成を妨げる事にも繋がり、事態を危惧すべきであると,強調されていました。
 子どもたちの体力向上のための方策として、「健康三原則-よく食べ、よく動き、よく眠る-」が掲げられています。小中学生の「運動」「食事」「睡眠」の大切さについての意識調査によれば、小中学生ともに運動に対する意識が最も低い結果となったそうです。残念ながら、私たちの住む愛知県は、体力・運動能力調査の結果は最下位です。言語活動の充実やICT教育に力が注がれ、体を動かす時間が少なくなった分、体育の授業の質が低くなったことが背景として考えられます。それらを踏まえ、調和のとれた食事以外にも、適切な運動と十分な休養・睡眠の大切さもあわせて働きかけていくことが重要です。さらに、サプリメントやエナジードリンクなどの健康食品の危険性についてもお話しいただき、保護者の方々に周知していきたいと感じました。
 今回の研修で、数々の調査結果から、改めて運動の大切さに気付かされ、食育を行う上で、「食べよう」という働きかけばかりでなく、「運動しよう」「睡眠をとろう」という点についても考えさせる機会を設けていきたいです。また、本校でもクラブチームや習い事等でスポーツに力を入れている家庭も大変多くあります。子どもたちのみならず、家庭への働きかけも怠ってはいけないと感じました。今回学んだことを、多くの家庭・子どもたちに伝えていくことができるよう取り組んでまいりたいと思います。

報告者:名古屋市立陽明小学校 永田千広