スポーツ栄養講座 基礎コース(2017/11/12)

日時:平成29年11月12日(日)
場所:日本福祉大学名古屋キャンパス


(1) 9:30~11:00「スポーツ栄養マネジメント」
    愛知県栄養士会スポーツ栄養委員会委員長 公認スポーツ栄養士 山本和恵先生

スポーツ栄養の人気は、2020オリンピック・パラリンピックの影響もあり高まっています。(公社)日本栄養士会では、特定分野の公認スポーツ栄養士、認定分野の健康・スポーツ栄養認定管理栄養士・栄養士を輩出しています。(公社)愛知県栄養士会は、これを受け他県より先駆けてスポーツ栄養委員会が発足され、スポーツ栄養を必要としている選手、県民の皆さまに対応できるように、私たち管理栄養士・栄養士のスポーツ栄養の教育機関や一般者でも勉強ができるスポーツ栄養との差別化をお話ししていただきました。また、スポーツ栄養マネジメントの概要とその活かし方についても学びました。

(2) 11:10~12:40「年代にあった運動の仕方、メディカルチェック」
    (公財)スポーツ医・科学研究所 日本体育協会公認アスレティックトレーナー 小嶋俊久先生

トレーニングの7原則、スポーツにおける一般的なメディカルチェックの目的と内容、さらに5~18歳までのジュニア期、青壮年期(成人)、高齢者の年代別の身体的特徴に応じたメディカルチェックの具体的な方法と、安全に効果的に行うトレーニングの種目や注意点について学びました。
 11歳までのジュニア期にゴルフ・フィギアスケートなど技術スキルが必要なトレーニングを始めるとよいこと、青壮年期においては日本とアメリカの身体活動・運動目標の差異や、アメリカスポーツ医学会(ACSM)運動ガイドラインが近年に改定されるという最新情報を、高齢者においては小嶋先生ご両親の介護経験も交え、ステップ運動など身体と同時に頭も動かせるトレーニングがおすすめなど、栄養士にも分りやすくお話ししていただきました。

(3) 13:30~15:00「体内の変化ー成長期ー」
    上越教育大学大学院学校教育研究科 教授市川真澄先生

成長期における骨、神経系、呼吸器・循環系、筋系の発達について、1つ1つ解説をしていだきました。小学校期には巧みさ、中学校期には粘り強さ、高等学校期には力強さといった成長期における運動原則に沿ったトレーニングすると効果的なこと、また身長が急激に伸びるといった身体変化の特徴から、スポーツ実施時に骨端線の軟骨に影響を与えるような激しい運動は避けることなどを学びました。
筋繊維には日常生活を行ううえでの遅筋:タイプⅠ、瞬間的に大きな力を出せる速筋:タイプⅡAとタイプⅡBがあり、各筋繊維を鍛えるのに最も優れた時期について、市川先生のスキー・スノーボードといったスポーツ経験に基づき、お話ししていただきました。

(4) 15:10~16:40「体内の変化ー高齢期ー」
    国立長寿医療研究センター 室長大塚礼先生

国立長寿医療研究センターでの「老化に関する長期的縦断疫学研究」の結果から得られた高齢期の体内変化について学び、理解を深めました。この研究は老化の進行過程、要因の解明、老年病の発症要因の解明と予防策の発見・確立を目的とし、対象は大府市・知多郡東浦町の住民から性・年齢階級別に層化無作為に抽出し、1997~2000年までに合計2267名における医・栄養・運動・心理・身体組成学など多分野に及ぶ縦断研究とご紹介いただきました。その研究成果より、加齢に伴う各種要因の経時変化から、昨今注目されている認知症やサルコペニア・フレイル予防に関する食生活アプローチ策まで、貴重なデータの分析結果から健康増進活動に役立つ情報を教えていただきました。