日時:2019年7月6日(土)10:00 ~15:30
場所:福井市観光物産館 福福館
福井市中央1丁目2-1ハピリン2階・ハピリン催事場
事例紹介1「静岡県における活動の報告」
講師:(公社)静岡県栄養士会副会長 木下初代 氏
「静岡県栄養士会地域活動事業部が担当した2018年度の委託事業(食育活動)について」の報告の内容は次の通りである。(1)しずおか健幸惣菜レシピ募集業務(静岡県健康増進課委託事業)として、社員食堂、弁当業者、スーパー等の惣菜等を利用している働き盛りの世代に対し、望ましい食生活を実現できるようレシピ集を作成した。(2)富士宮市食文化推進プロジェクト推進事業(富士宮市フードバレー推進協議会委託事業)として、健康を考えるランチセミナーは移民を対象として飲食店を利用した講座を行った。また、地場産品探検ツアーは小学生を対象に市内スーパーにて食材等に興味や理解を深める講座を行った。(3)(公財)静岡県生活衛生営業指導センター委託事業として、飲食店の栄養成分表示定着推進事業と元気を見つめる会食活用推進事業を行った。(4)栄養ケア・ステーション受託事業では、シニアのグループを対象に市内27か箇所で講座を行った。
子どもから働き盛り、高齢者と幅広く食育に力を入れていることが伺えられた。
事例紹介2「福井県における活動の報告」
講師:(公社)福井県栄養士会 佐々木澄子 氏
2018年度は、ふくい健幸美食プロジェクトとして、福井県は、平均寿命、健康寿命と共に全国トップクラスである。さらに健康に長生きするために、ふくい健幸美食認証条件を考案した。1.定食・弁当・惣菜の組み合わせ(1)主食・主菜・副菜がそろっている。(2)550~750kcal程度。(3)塩分控えめ(3gまで)。(4)1日に必要な野菜の1/3以上が食べられる。(5)福井県産の食材や福井らしい食材を使用している。2.単品の惣菜 (1)煮物:調理後の煮汁が塩分濃度1%以下。(2)揚げ物:調理後の衣重量が全体重量40%以下。(3)和え物・炒め物・サラダ:野菜量100~200g、150kcal未満、塩分1g未満。で食事を提供できるお店に「ふくい健幸美食認証」を譲与している。
福井県民は、惣菜を利用しているため、塩分、油の量などを断ち切るために行った経緯がある。認証条件の根拠もあり、県内290店が提供する287メニューが選ばれている。愛知県も気づけば茶色の食事を好む傾向があるため、参考となった。
講演1「食とこころ~食指導に活かす心理学の豆知識~」
講師:仁愛大学心理学科 教授 稲木康一郎 氏
今回は3題の内容であった。1、食行動の心理学では、ラットの試験で、特定の栄養素を制限したラットに、カフェテリア実験を行うと、不足した栄養素を摂取(食行動によるホメオスタシス)した。また、味覚嫌悪は、1回でも食べた後に嫌なことがあったら、その匂い、味などが、永久的に嫌悪となる。 2、レーズンエクササイズでは、マインドフルネス認知療法のワークの一つであり、レーズン1粒を10分間かけて観察と口腔内やのど越しの感じ方に集中した。マインドフルネスとは、今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、捕らわれのない状態で、ただ観ることである。これは、心の働きも観ることになる。 3、MIスピリットでは、動機づけの低いクライアントにどのような面談を行うかの内容で、事例を挙げて説明があり、クイズ形式で実体験も行った。MIスピリットとは、動機づけ面接法の面談の土台となる精神面談の全てのプロセスにおいて意識することである。
(1)協働Partnershipは、お互いに気持ちや情報を交換しながら面談を進める。(2)受容Acceptance は、正確な理解に努め、自分の理解を口に出し、確認する。(3)思いやり Compassionは、来談者が希望しなくても、福利に重要なら変化に向かう。(4)喚起Evocationは、来談者から考えや気持ち、物の見方、アイデアを引き出す。この手順で行った。
栄養指導は、短い時間で希望を聞きながら情報提供を行うため、ガイド的スタイルにあたる。押しすぎず、引くことのテクニックで、いかにやらない気にさせないことが重要だと痛感した。
講演2「地域に広げよう栄養士の食育指導~ふくい食育実践報告~」
講師:元越前町立朝日中学校栄養教諭 水嶋眞由美 氏
福井県独自の食育教材「ふくいこども食育チャレンジ」の活用として、構成は、1.石塚左玄の6つの訓え(1)食育は家庭教育なり (2)命は食にあり (3)人間は穀食動物なり (4)入郷従郷 (5)一物全体食 (6)食事のバランス 2.くらしの学習 3.くらしの学力 4.3つの力 (1)食べる力 (2)作る力 (3)ふるさと福井を知る力 これらの内容を発達段階に応じて指導書を作成した。さらに、実践では、あさひのきゅたろう君(腹話術)とクイズや会話をしながら食に対する意識を高める方法で行った。最後に、学校給食レストランを開き、ご家族の方と学校給食を楽しむ食育も行った。
きゅうちゃんの服が、上半身緑色、下半身黄色、靴下赤色となっており、3食の食品群の色になっており、その割合も服で示していた。大人でもきゅうちゃんに興味が沸き、とても会話を聞き入ってしまう感じであった。
報告者:森島敦子