福祉部会研修会

日時:令和元年6月29日(土)10:30~16:30
場所:業務用厨房ショールーム「プロ厨房オイシス」
参加者:69名(会員63名、非会員6名)


全体会
 講義 『福祉の栄養士に求められること』
 講師:愛知県栄養士会 会長 柵木嘉和 氏

愛知県栄養士会柵木会長からは、地域包括ケアシステムやその深化系の地域共生社会における福祉栄養士の役割を整理いただいた。具体的には、栄養士の歴史、栄養士法、職業倫理、栄養士会の最近の状況、6月23日・24日に行われた日本栄養士会総会の話題も盛り込んだ日本および愛知県の栄養士会と福祉部会重点事業の説明と課題など広い視野での話題をご提示いただいた。
高齢・障がい・子どもの分科会を持つ福祉部会の管理栄養士・栄養士の課題として、栄養管理推進体制の整備、地域包括ケアにおける栄養支援体制の確立、栄養士免許証取得者の活用など山積している。
そのためにも、一人ひとりの管理栄養士・栄養士が、各地域の多機関・多職種と協同し、地域共生社会へ参画し貢献できる専門知識・技術・倫理観を持つ人材育成、根拠のある実践、災害時の体制の構築を行い、人々の暮らしへ貢献してほしいとエールを頂いた。

報告者:奥村圭子

児童分科会
 講義「児童の身体と心の発達と食育」
 講師:皇學館大学  教授 駒田聡子氏

児童の分科会では、皇学館大学の駒田先生に「乳幼児の身体と心の発達と食育」というテーマで、講義をいただきました。
 パワーポイントを使用せず、紙の資料を使用してというスタイルでしたが、かえって先生のお話に集中でき、参加者も熱心にメモを取っていました。
 「人の食の1番大きな特徴は、分かち合うこと」、「消費者を育てるということは、選ぶ力を育てる」、「食によって子どもの自尊心を育てる」などの示唆に富む言葉が多くあり、今後の食育へのヒントを得ることができました。
 また、「栄養のプロとして“なぜ?”に答えられるようにする。」という、栄養士・管理栄養士としての覚悟を問われる言葉は、肝に銘じていかなければならないと思いました。

報告者:杉浦正美

高齢分科会
 講義「栄養管理に関わる加算算定を目指して」
 講師:社会福祉法人あいち 特別養護老人ホーム メリーホーム大喜 田中 雅子氏

「栄養管理に関わる加算算定を目指して」をテーマとして、社会福祉法人あいち特別養護老人ホームメリーホーム大喜の管理栄養士、田中雅子さんに発表していただきました。
 これまで、栄養業務にかかわる加算は、栄養マネジメント加算、療養食加算、経口維持加算、経口移行加算がありましたが、平成30年度から新設された「低栄養リスク改善加算」、「再入所時栄養連携加算」について、実際の事例をもとに加算の取得方法を話してもらいました。
 基準や資料では読み取れないことや、現場ならではの困り事、他の職種との連携方法、どのようにそれを解決していったかなど、参加者も大変共感でき、参考となる内容でした。
 これからの加算は国の施策として強化したい内容でもありますが、サービスを受けた利用者様が一番「よかった」と思えるように取り組んでいくことが本来の目的だと思います。
 新たな加算に初めて挑戦するのは色々な不安がありますが、次回の介護保険改正で加算が外されてしまわれないように、田中さんの大きな一歩に続き、参加者も一歩を踏み出しやすくなったのではないでしょうか。
 新しい加算について、その事例を蓄積し、改善に生かしていくことでより良い栄養ケアに繋げていけるのだと思います。

報告者:森島敦子

障害分科会
 講義「障害者総合支援法での栄養士に関わる加算をとるには」
 講師:(社福)愛知県厚生事業団 障害者支援施設 愛厚半田の里 蔦木 里衣氏

平成26年3,4月の国保連データによりますと指定障害者支援施設等、福祉型障害児入所施設での「栄養ケア・マネジメント加算取得率」はそれぞれ37.4%、21.6%と介護保険施設が90%以上なのに対し非常に低い取得率となっています。今回の参加者で栄養マネジメント加算を取得している施設はほとんどありませんでした。

 蔦木氏からは福祉施策の歴史から障害福祉サービスでの栄養士に関わる報酬・予算などの変遷を解説していただき、そのなかで使われていないサービスはなくす、減らす方向が明確になっているということ、結果的には栄養士という職種が消えていく危機感を話されました。3年後の報酬改定に向け、実績、データを集めていく必要があることも強く話されました。

 施設に栄養士がいるということを積極的にアピールし栄養士が栄養ケアの部分は責任を持ち、利用者様の支援計画策定会議などに参加して行きましょう!、すぐに報酬請求に繋がらなくても個別の栄養ケアマネジメントを始めましょう!、と力強いお言葉をいただきました。そして、栄養ケアをすすめていく流れを実際に書類を作成しながらグループで勉強しました。

 次回研修会では引き続き栄養ケア計画の流れを実践し、策定会議に持参して出席するロールプレイを予定しています。次回も是非参加して下さい。

報告者:柳田美紀

★福祉部会第2回研修会の予定★
  日時:令和元年11月23日(土)
  会場:業務用厨房ショールーム「プロ厨房オイシス」